熱中症について
いよいよ暑さが本番になってきました。毎年この時期になると必ず話題になるのが「熱中症」です。とくに今年は震災の影響で各家庭でも
節電が当たり前となり、例年以上に暑い毎日を送ることになり、より気をつけなけなければなりません。
「熱中症」とはどんな病気でしょうか。予防法やその対処方法はどうすればいいかなど、このホームページを通じて皆さんにご理解して
いただければと思います。
熱中症とは
「熱中症」とは体の中と外の"あつさ"によって引き起こされる、様々な体の不調です。専門的には、「暑熱環境下にさらされる、あるいは
運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態
から、全身の臓器の機能不全に至るまでの連続的な病態」と定義されています。
熱中症というと、暑い環境で起こるもの、と思われがちですが、スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、
脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生し得るものといわれています。実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。
また、運動開始から比較的短時間(30分程度から)でも発症する例もみられています。
熱中症は、いくつかの症状が重なり合い、互いに関連しあって起こります。また、軽い症状から重い症状へと症状が進行することもありますが、
非常に短時間で急速に重症化することもあります。
従来定義と新定義の対応表 従来定義 新定義 熱痙攣(熱性筋攣縮、熱性こむらがえり) T度 [heat
cramps] 熱失神[hest syncope]・日射病[sun stroke] 熱疲労(熱疲弊)[heat exhaustion] U度 熱射病[heat stroke] V度 古典的熱射病[classical heat stroke] 〃 C型 努力性熱射病[exertional heat stroke] 〃 E型
熱中症の分類
しかし熱中症の分類は医学的にも混迷している状況にあります。これは症状(こむらがえりや 筋肉のけいれん、なかには腹筋がけいれんして腹痛を訴える場合もある)やその環境(直射日 光にずっと当たっていたために具合が悪くなる日射病)によって表現された病名があるからか もしれません。日本語においても、英語においても同様と考えられ、このことが症状や緊急性 の判断を難しくさせ、手当や診断に影響を及ぼしていると考えられています。このことから 熱中症については右の表のような分類を行なっています。
従来、医学的には以下の3つの病態に分類されていました。
@ 熱けいれん(heat cramps)
A 熱疲労(heat exhaustion)
B 熱射病(heat stroke)
「熱中症」にならないために
1.体調の管理
寝不足や風邪気味などの体調不良は熱中症の原因となります。ちなみに東京都の過去の最高 気温は平成16年(2004)年7月20日の39.1度です。当然熱中症救急搬送患者が多発 するであろうと思われましたが、この日はそれほど多くありませんでした。ところが翌日に 救急搬送患者が急増しました。前日はあまりに暑いために人々は外出を控え、家でじっとして いたようでした。ところが夜中になっても気温が下がらず、前日より2度以上も高い熱帯夜 でした。そのことで人々は寝不足となり、翌日に熱中症患者が急増したといわれています。
2.服装に気をつける
通気性の良い服装は体温を下げてくれます。当然熱中症の発生を予防する効果が期待できます。最近は高機能な下着
なども売り出されていますので、使用するといいでしょう。
3.水分補給
汗をたくさんかいて喉が渇いたとき、体は相当脱水状態に陥っています。このときお茶や水だけ補給すると、汗で喪失
した塩分を補うことができません。このような時はスポーツドリンクを飲んでください。塩分を喪失したままでいると
足のけいれん(熱けいれん)が起こったり、熱中症の原因となります。
(注意)
こんなのがあると安心ですよ
スポーツドリンクにはかなりの量の糖分が入っているものがあります。大して汗もかいていないのにスポーツドリンク
ばかり飲んでいると、糖分の摂り過ぎになりますので気をつけましょう。何ごともほどほどに。
そのほか、体温調節機能が未熟な子供やお年寄りは熱中症になりやすい傾向があります。気をつけましょう。
「熱中症」に遭遇したら
自分だけ気をつけていても、どこかで熱中症になりかかっている人に遭遇するかもしれません。熱中症は初期治療がうまくいかないとどんどん症状が悪化していく病気です。
そのときあなたがそばにいたことで、その人は助かるかもしれません。
この組み合わせ この組み合わせ
または
「熱中症」は気をつければ怖い病気ではありません。しかし夏バテで食欲が落ちていたり、カゼで体調を崩していたりすれば
あっという間に具合が悪くなります。日頃から体調を整え、十分な睡眠と栄養補給に心がけましょう。
(文責 入新井地区 安田 雄一郎)